戦後80年8月敗戦が近づいてきたから、意識高くこの本を求めて読んだというわけではなく、いつもの図書館でいつものごとく新刊書の棚で手にした一冊であります。
『ノモンハン事件が1939年9月1日の第二次世界大戦の勃発につながった、欧米の研究者らの間で近年、そんな指摘が相次いでいる。』
つまり、世界大戦の「導火線」になったというわけです。
驚きでした。
わたぐしごとでありますが、わたしの父と母は戦時中、奉天(瀋陽)で軍属医療従事者として病院で働いていました。現地の満州に渡った日本人、現地の中国人や朝鮮人、そして戦争の負傷者をおもな患者としていました。母は中国語が達者で、諜報活動もさせられていたのではとかってに想像していますが、あたらずとも遠からずだろうとおもっています。
なので、父や母からきいた戦争中のはなしは、このような本を読んでも人ごとではなく、とても身近に感じてしまい、母が聞かせてくれた手術中の兵隊さんのうめき声や叫声、また匂いなどがよみがえってくるようなときもあるのです。
第6章の最後にこうあります。
『日本の傀儡国家を舞台にしたスパイ戦は、そこに以前から暮らしていた人々の多くを味方にできないまま、ソ連に後れをとり続けた。現場の情報を軽んじ、大局的な視野を持たないまま総力戦に突き進んだ日本。戦況が悪化すると、満州国は本土を守る「防波堤」とされ、こうした情報を知らされなかった多くの民間人を巻き添えにした。』
満州国を沖縄におきかえても、そのまま通じますし、戦後80年もたっているのに、基本的にはほとんど変わることのない日本の体制。
もう少しましな日本になるとおもったのですけど、そうでもありませんでした。次の世代の方々に、申し訳がたちませぬ。
で、本はとてもよくまとまっていて、このような本にありがちな枝葉末節を茂らせていたずらに分厚くなるというようなこともなく、一気に読めるくらいの分量厚さであります。
わたくしは人様に何かを勧めるということをしない人間なのですけど、この本は一読をおすすめいたします。
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