塗装の技術はその頃学んだ。
ピッカピカにするのが好きだったというか、そうじゃないと塗装した気になれなかった。
木工を始めてからも、その習性は残っていて鏡のようにしないと気がすまなかった。
ところが、だんだん傾向が変化していった。
古民家などの日常の生活の中、毎日の雑巾がけで月日を経たたたずまいの方に気持ちが移っていった。
別段、漆の什器や家具などの艶、手触りが嫌いになったわけではない。
鏡のように仕上げたあと、汚れたり傷ついたりするのが気になったり、どうせ月日が経てば輝きが失われるのだから、ならば最初からそれほど気合を入れてピカピカにする必要などないのではないかとおもったわけでもない。
制作してきたものがあとは普段の手入れをしていればそれなりにきれいになってゆくというところでよしとしようというふうになってきたのだろう。
漆職人に手渡す手前の生地仕上げだけでよかろうということでもあります。
しかしです、きれいな木目をみると衝動的にピカピカすべすべにしたくなることがるのも事実で
自分でも不思議な気持ちになるのです。
子どもの頃のピカピカ精神はまだ老いても枯れてなさそうです。
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