時代劇でよくでてくる場面に悪党を拷問攻めするものがあります。
この兄弟の佐久間家は代々、吟味方が家職化されまた世襲されていたようです。なので、吟味の仕方は口伝で代々伝えられていました。長敬は才気溢れ有能で、安政5年(1858)にこの口伝内容を「我が経験と古老よりの口伝とを書綴り、子孫のために遺し置くものなり」としてまとめたのが「吟味の口伝」です。
これがまた実に興味深いのです。いくつかみてみましょう。
①拷問はみだりに行ってはならず、取り調べを重視すること。また取り調べも私情を挟まず公正に行うこと。
②相手が何者であっても強い語気で取り調べをしないこと。
③取り調べの最初から大声で叱責しないこと。
どうです。現在の検察や警察に是非とも読んでもらいたい。
このあと、拷問についての口伝が続くのですけど、割愛します。
⑬囚人に対しては努めて言葉を正しくして、私情を一切挟んではならない。
⑯語気強く、少しも緩みなく責め問いを続ければ愚人は終いに冤罪をかぶってしまう事がある。口頭での取り調べですらこうしたことがあるので、拷問はより一層注意が必要である
これまた、現代の検察官・刑事たちにこの口伝を読んでほしいところ。現在でも冤罪事件がおこっています。それを強く戒(いまし)めているのです。
そして最後、これはちと笑えます。
⑰女は男と違い様々な手を使って罪を逃れようとするので、その責め問いは最も注意すべきことである。
長敬はこれを明治期に南北会を通じて刊行しており、代々町奉行所内で口伝で伝えられてきた内容をこうして活字で公表したことで町奉行所の取り調べの実態を明らかにしたのでした。
つづく




