2020年7月18日土曜日

明治時代のポンチ絵

 数日前の夕刊にのっていた。



うまいね。

 小林清親さんという有名な絵師なのだが、まったく知らなんだ。
ネットで作品をみてみると、うん、素晴らしい。

で、この作品はポンチ絵で題は「眼を廻す器械」、明治18年「團團珍聞(まるまるちんぶん)」に寄稿とある。
ひと目見て、あれこれ考える前になるほどとおもわせなければポンチ絵ではない。
これはもちろんそのポンチ絵の最前線。

 チャップリンはグルグル回る大きな歯車に人間が巻き込まれる映像で産業革命工業社会の非人間性を皮肉った。
小林清親は文字通り目が回る忙しさをその眼を廻す器械で世相をきっている。
器械を回している二人は汗だく。

 次々に書類がやってくる。
左から表紙「衛生」の書類をすまなそうにもってくる官吏の顔がどことなく安倍ちゃんに似ている。
「収税」「諸願届」「町村費記」「学校?」「徴兵簿」「送籍帳」などたくさんある。


右上の文章を読んでみる。
◯眼を廻す器械
 めをまハすき可い

淀 の川 瀬の水 車  舞
よどの可ハせのみづくるままつ

多りゝ   とハ角 兵衛の言
たりまったりとはかくべゑのいひ

草 多゛可機械 のいゝ上 此の暑
くさだ がき可いのいいうえこのあつさ

いので惣 身 の油  も充 分
いのでそうしんのあぶらもじうぶん

これで廻 ら奈きやァ眼の
これでまハらなきやァめの

方 が堂 可し多の多゛イヨー
者うがだうかしたのだ いよー

廻 るワゝ   ガラゝ
まハるワまハるワがらがら

眼能こん奈尓廻 る
めのこんなにまハる

王りに身 代  も同 じ
わりにしん多゛いもお奈し

く廻 るやう尓し
くまハるやうにし

多いもん多゛イヨツ
たいもんだ イヨツ


 意味は理解できるが、明治18年ではまだまだ従来のかな使いと学制を整えて新しい仮名遣いに統一しようとしていたものがごっちゃになっている。フリガナにも変体仮名があったりする。
でもまぁどうにか読める。


ついでに下部の英文を読む。
"Merry"! Ejaculated the Honorable district magistrate,
and kept on his bewilderment by saying."O! busy,busy,sir! This too much for us!"

 メリー! 地方行政官氏がうろたえながら叫んでいる。とにかくわれわれは忙しいのです、もう手一杯なんです。

 訳はいい加減で、内容はこんな感じだろうということ。

絵から何を訴えているかがわかればもう充分です。



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