2017年5月18日木曜日

『みんなの道徳解体新書』パオロ・マッツァリーノを読んだ

 おもしろい。
一気に読んでしまった。
本の帯に、「シュールにかがやけ」なんてあるけど、なんだかな。
いたって、真面目で正面から道徳とはを考えている本です。
http://pmazzarino.web.fc2.com/liner_dotoku.html



 私自身、道徳授業は興味があり、各社の副読本を調べたことがある。
手元にはそのときの残りで、まだ一冊所有している。

 自分自身の小中学校の道徳を思い起こしても、小学校は全く記憶にない。
多分やってなかったんじゃないかとおもう。
中学校もほぼ同じなのだが、中3のときに偉人伝にからめて何か聴いたような気がするが
不確かだな。
どちらにしろ、99.9%何もしなかった道徳の時間だった。

 おそらく、全国的に同じような状況で、統計調査ををした
文部科学省があせって、政権も後押しし、危機感が道徳の教科化を促したのだろう。

 さてこの本だが、是非道徳の副読本として教員に配布して欲しい。
教員たちは、道徳副読本の流れに沿った研究資料はあれこれ勉強するのだが、
副読本の主題を批判する文献を手にすることはほとんどないし、時間的余裕なんてない。

 道徳の授業というのは、やや特殊で
副読本の中にある、ある主題にそった短い読み物のなかで、
生徒が主人公や周りの数人の登場人物の気持ちになり(きり)、
あなたならどうするか、どんな気持ちかなどを考えさせたり、討論する工夫を授業者は考える。
設定された、おぜんだてを、客観的にながめるなんていうことはしない。

 著者は、そういった設定を完結に短く批判する。
笑える。
子どもたちの笑い声が聞こえてくるようだ。
笑うに笑って、腹が減って給食の食べ残しなし、
なんていう道徳授業があったっていいし、これこそ実践道徳授業だな。

 本書の底に流れているのは、道徳授業の危うさと怪しさだ。
著者は批判するだけでなく、
著者なりの道徳とはの答えも述べている。

 全国の道徳授業を熱く実践している教職員のみなさん
是非手にとって読んで欲しいし、
学校図書館に一冊購入してください。



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