講談社 2014.6
吉村 昭 著
大した人だとおもう。
幕末動乱の中にあって、彼の外交手腕云々はもとより日常の鍛錬・倹約励行など
みずからを律すること立派である。
でも、ジジイはそれらのこともさることながら、あれだけ身体を鍛えていながら中風(脳の血管障害)にやられてしまったことに感慨がある。
京都・大阪、そして長崎への強歩、すさまじい健脚ぶりである。1日約50kmを日夜歩く。
歩いて歩いてあるき続け、山道もなんのその、随行する若者たちは遅れること甚だしい。
二本差しの重さなど無関係なのだったろう。
日常では早起きして刀の素振り、槍の突き、自宅周りの早歩きなどこれまたかかすことなく鍛錬する。
仕事にさしさわりのないよう体作りには人一倍気をつけていた。
それなのに中風という、今でいう日常の習慣病、塩分の多い食事だったのだろうか。
しかし、食事は質素であったという。
酒も出張先への移動中や大事な仕事のときには禁酒し部下にも徹底させた。
体質だったとしか考えられない。
それにしても、中風の後遺症で半身不随となり、身辺の者たちへ世話をかけさせたくなかったのだろう。自害した。
あっぱれな生涯である。
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