岩波書店。
2020年7月29日発行。¥2900円。
表紙カバー裏には、「原爆はアメリカ市民の命を救った」という語り、放射能でパワーアップする映画やコミックの表裏、流行歌に潜む独自のイメージ・・・、とあります。
軍隊という機関が国民の生活の中にしっかりと組み込まれ、批判など許されないという現状の説明にうなりました。そして核兵器批判イコール非国民になる。なんか戦前の軍国主義日本のようでもあります。
また、著者の言葉ではありませんが「米国は核大国であるがゆえに被爆大国」であることにも、なるほどと再びうなりました。
このような体制を米国は70年以上にわたって構築してきたわけですが、いつまでも放射能被爆についてかくしおおせることはできぬとおもうのでありますが、そうやってもう70年以上がたってしまったわけですから、楽観できることでは決してありません。
戦争を仕掛け(させられ)て、日本国が亡くなろうかというほどの敗戦国と、勝者米国では原爆に対する考え方が根底から異なり、その境は埋められるものではないと読みすすめいていたが、どうやらことはそんなに単純ではなかった。第二次大戦以前、およそその40年前くらいからアトムのプロパガンダが盛んにあの手この手で浸透していたことがたくさんの資料で具体的に示されている。
よくわかったことは、核兵器を使うとこんなにひどいことになるのだからと被害者がいくら自分をさらけ出し、現実の状況を見せても訴えても、なんにも考えを変えないし気持ちも動かされないということです。
まずは放射能の恐ろしさを学んでゆくしかありません。かつ同時に訴え続けてゆく、しかしそれは米国の文化を変えてゆくことに直結してゆくわけですから、道は険しい。
著者の宮本ゆきさん、良い本を上梓してくださった。惜しむらくは本文の言葉が硬い。わたしみたいなジジイが読んでも今後なんのお力にもなれぬこと明白。次世代の中高生に訴える内容でしょう。新書版で中高生にも読むことができるように出版してください。
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