岩波書店 2009.4
吉村 昭 著
中学高校の授業では1行か数行で終わってしまい、ときたま生麦村の写真がのっていたりする。
しかしながら、これを発端によくもまぁこれだけ、呆れるほど複雑に絡まって、ことはすすむ。
薩英戦争、薩摩藩の用意万端周到備えは見事というほかあるまい。
猛烈な嵐の中、開戦したことも薩摩にとっては運がよかった。
薩摩は 5.5 vs 4.5 でかろうじて勝ったわけだが、そのあと奢ることなく先見ある判断をしたことがその後の藩の将来を決定している。
この戦争で、イギリスはアヘン戦争のようには日本に対して進めることができないと判断にしたのではなかろうか。武力行使をしてもよいが、我ら側の被害も甚大で、この方針で進めればいずれこちらもくたばる。ならば武器や船をなど売りまくって潤ったほうが賢明だろう、このほうが我らの被害はほとんどない。
幕末動乱期、薩摩長州の動きがどうもつかみにくかったのだが、順序よくわかりやすく記されていていろいろなモヤモヤが取り払われました。
司馬遼太郎という作家が坂本龍馬に光をあてたため、坂本龍馬人気が今でも続いている。
しかしながら、この本だけでなく薩長関係の書物を詳しく読み込んでも、坂本龍馬の出番はほとんどない。同じような仕事をした憂国の士たちはたくさんいた。その中のひとりであることは確かなことだが・・・。
それにしても、朝廷の右往左往、情けぬ。
どうして、武士集団や民衆が、公家や朝廷など、見限らなかったが不思議である。
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