ニトリからの帰りの車で、紛失していたことは確実で、あのメッセージはホントなのだろうと考えなおした。メール内容を一転信じるとすると、カードは拾得されているとあり、使用される恐れはなさそうである。帰宅してから落ち着いてショートメールに記載されていた番号にかけた。
本人確認をされ、クレジットカード会社から折り返しかけるということで一旦切った。
優しそうなお姉さんの声だった。
これがもしドスの利いたお兄さんの声だったら、すぐに切ってしまったかもしれぬ。
携帯がなった。
やさしいお姉さんの声でホッとしている自分がいる。
クレジット会社から最後に使ったお店でカードを返却し忘れて預かっているとのことだった。
自分の記憶と一致した。
深呼吸し、ながく息を吐き出した。
クレジットカード会社の方からお店に電話をしてもらい、ジジイは昼食後ただちにそのお店に車を走らせた。15分から20分の距離である。道は空いていた。
店に入るなり、若女将がすぐにかけよってきてくれた。
申し訳ありませんでしたと何度も何度も繰り返し、謝られていた。
ジジイはなんとも気恥ずかしく申し訳なく、ご迷惑ご心配をおかけして申し訳ありませんでしたと繰り返した。
お店の方はジジイがお店を出た直後にクレジットカードが読み取り装置に差し込まれたまま返却するのを忘れたことに気づいて、すぐにクレジットカード会社に電話してくれていたのだ。
クレジットカード会社もそれをうけすぐにジジイの携帯に12:48連絡を入れてくれた。
ジジイのお店でのレシートの「ご利用日時」は「2020/01/14 12:29:21」となっている。
レジの日時の刻印からわずか19分後である。極めて早い対応でこれ以上の対応はなかろうかというくらいの敏速な処理である。
一連の流れを反芻すると、普段めったに落ち込むことのないジジイであるが、
ひどく消沈した。
緊急時に自分以外のまわりの方々はこれ以上ないくらいの最高最善の対応をしてくれた。
それに相反するかのようにジジイの対応は最低最悪であった。
情けぬ。
恥ずかし気持ちは洗いざらい述べておいたほうが精神衛生上良さそうなので恥をしのんでさらに続ける。
お店の若女将さんは本当に申し訳なかったと、お店の品物をお詫びの印としてジジイに手渡してくれようとしたのだ。私の気持ちが済まないのでどうか受け取ってくださいとおしゃって・・・
ジジイは固辞した。ジジイだってしっかり受け取りを確認すればよかったのだから、自分のミスであることは確かなことだ。お詫びの品物なんてとてもじゃないけど受け取れるわけがない。
しかし、若女将さんの勢いに負けて受け取ってしまった。
なんてこった。
繰り返すが、お店の方もクレジットカード会社の対応も万全であったのだ。
それもこれ以上ないくらいの・・・
それを老人を騙す詐欺だろうと拒否したのはこのジジイなのだ。
今回はお店の方の適切な対応と、クレジットカード会社の素早い連絡で、カードが不正使用されることはなかった。とてもとても感謝している。そして申し訳なくおもっている。
一度あることは二度あるかもしれぬ、いやあるだろう。
カードを使用したら、レシート二枚(お店とクレジットカードのもの)と一緒にカードも財布に戻すこととその確認を怠らぬようするしかあるまい。
肝に命じます。
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