何本もの枝を水平に広げ、形の良い大振りな桜の木がある。
今夏7月、ちょうどここから枝分かれするバイパスが完成する。
ながい道路工事であった。
桜の木は残った。
この桜の木の下で、花見を楽しんでいる人たちが
見える人には見えるのだという。
斎場から旅立った人たちのよしみとでもいうのだろうか、
老若男女、飲めや歌えの大騒ぎらしい。
ボクの父もここから旅立った。
兄と二人で斎場にとまり、線香を絶やさなかった。
花見をしているのに気づくと、
ボクは父もいるのではないかと
ついついキョロキョロして落ち着かない。
父と酒を飲んでの花見をしたことはなかったが、
京都で満開の桜並木を歩いたことはあった。
父はなんども、「きれいだな」と桜の木に話しかけるように繰り返していた。
この斎場から旅立った方々、
良かったですね、ずいぶんと心配したんですよ。
切られるとおもっていましたから。
満開になって花見の時期になったら、
父をまた探してみます。
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