2016年7月14日木曜日

鰻の産卵場所へのなが〜い旅 何故への仮説

 こんな記事があった。
鰻は産卵場所へ何千キロも旅をするが、そのナゼに対しての仮説が面白い。



 いつもは川で生活し、産卵する時は河口なりその近辺の海で産卵してたのが
1億年、2億年と時間が経過し、少しずつ産卵場所であったところが動いてしまった
というものだ。
今で言うプレートテクトニクス理論というものだろうか、
昔は大陸移動説といった。

 小学生5、6年生のときに、「子供の科学」の愛読者だった。
そのときに大陸移動説というのを知った。
びっくりしたなんて言うもんじゃない。
そんな簡単に大陸が動くもんかとおもった。

 透き通るくらいの薄い紙を地図帳の大西洋のところにあてがい
アフリカ大陸と南アメリカ大陸と北アメリカ大陸をなぞった。
ハサミでその3つの大陸を切り取り、ジグソーパズルのようにくっつけてみた。
あれ、本当だ!
なんとなく凸凹が合わさっている。
子ども心に、ハサミで切り抜き、合わせてみる、というなんでもないことでも
なんとなく科学をしているという気分になったものだった。

 その後、両大陸の切り離された部分の地質が
同時代のもので、地質的にも同じものであるということがわかり
スゴイッスゴイとおもった記憶がある。

 鰻の話に戻るが、
少しずつ産卵場所が移動していったというところの「少しづつ」というところがミソだ。
いきなりとんでもないところへ産卵場所が移動してしまったり、消滅してしまったりでは
鰻はとっくに滅びてしまったに違いない。
そのような地殻の大変動で滅びてしまった生き物はたくさんいたことだろう。

 渡り鳥も何千キロも飛翔する。
10年前くらい、渡りをする前の白鳥がどうしても見たくて北上川の河畔を訪れたことがあった。
白鳥の大きさに驚いた。
こんなに大きな鳥が高空を群れになり羽ばたいて渡ってゆく姿を想像したら、涙があふれた。
そのときの写真を見ると、今でもじーんとする。



 渡りをする鳥たちも、鰻と同じで
昔はもっと近いところで行ったり来たりしていたのかもしれない。
少しづつ地面が動いちゃったもんだから、
「しょーがないなぁ」とか「面倒くさいなぁ、あと少し」とか励まし合いながら
「ふーっぅ、やっと着いた」なんていう会話が聞こえてきそうだ。
これだって、避寒したり避暑したりで渡る先が突然
すっごく遠くになちゃったら、翔ぶ気力がなくなっちゃうってもんだ。
「少しずつ」がやはりミソだ。

 鮭もそうだろうか。
ダムが現在のように山奥までたくさん建設される以前は
信州など上流でも鮭の遡上があり、大変なごちそうであったという。
昔は素直な急流だけのところが、地殻変動で段差ができ、小さな滝のようになった。
そこを遡上する魚たちは以前の段差のない急流を上っているのと、気持ちは変わらないのかもしれない。
しかし、彼等はなんとなく
地殻が移動しても、自分たちの普段の川近くの河口近辺、プラスもう少し広い海原で
生活していたような気がする。

 クジラも大回遊するが、やはり地殻の移動がその原因だろうか
興味は尽きない。


 大陸の移動という考え方は、
難しくいうと、いやそんなに難しいことじゃないけど
座標軸の移動ということと同じだろう。
座標軸の目盛りが変化してしまうといってもよい。
だから、鰻自身は去年と同じとこへいくのに
どうして今年はくたびれるのだろうとくねくね身をよじらせ、
若い白鳥は「なんか去年より遠い〜なぁ ねっ お父さん ふぅ〜」なんて感じるくらいかもしれない。





 
「A Universe From Nothing」 より引用しよう。
『ある時点で、われわれの観測可能な宇宙となる領域は、光の速度を突破して膨張するだろう。それは、なにものも光の速度より大きな速度で進むことはできないという、アインシュタインの特殊相対性理論に反しているのではないか、と思うかもしれない。だが一般相対性理論によれば、そのような膨張が起こってもかまわないのである。ここはひとつ法律家にでもなった気分で、この点について少々注意深く調べてみよう。特殊相対性理論は、光の速度よりも大きな速度で空間の中を進むことはできないと述べている。しかし、空間そのものは、少なくとも一般相対性理論によれば、その制約を課されていない。そして空間が膨張すると、遠くはなれた二つの天体は空間に乗ったまま運ばれてゆく。天体はそれぞれ元の位置に静止しているのだが、相手に対して超光速で遠ざかるのである。』

 いきなり話が鰻から宇宙へとんでしまったが、
座標が変化するという肝心な点は同じだ。
鰻では動かないはずの地殻(座標)が動くこと、宇宙では不変だと考えていた空間(座標)が伸張してること。

どちらも
動かない、変化しない、などを基準に考察するが、その基準自身を疑って考える必要があることを
教えてくれる。


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