2018年8月9日木曜日

にっぽん音吉漂流記

晶文社 1980
春名 徹 著

 音吉のことだけでなく、当時の漂流船のことを的確にまとめている。
この日本型の漂流の原因は、和船の構造にあり、
さらに日本沿岸のみの航行を許すという、幕府政策方針によるものだという。

 そのため、大嵐にあうと、舵が壊れて次に檣(読みはショウ。帆柱のこと)を切る。
あとは風のなすまま潮の流れに船をまかせ漂いはじめる。
しかし、そうなる前に儀式があり、できることをすべてしたあとは
ちょんまげを切り、全員で無事を祈る。

 漂流記の挿絵の大嵐にもまれている船の絵を虫眼鏡で拡大してみると、
なるほど皆、胸の前に手を組んで必死に拝んでいる。


 現在も版を重ね、読みつがれているようだ。
こういった本が細く長く出版され続けていることはうれしい限りです。


0 件のコメント:

コメントを投稿