2019年3月12日火曜日

箸に関する書物

箸の文化史世界の箸・日本の箸 新装版
御茶の水書房 1998.8
一色 八郎 著

箸ものと人間の文化史 102
法政大学出版局 2001.11
向井 由紀子 著

 もう一冊あるのだが、それは後ほど。

 一色氏のは可もなく不可もなくだったな。カラー写真も多用しているのだが、ただそれだけ。
全体に平板な編集で、おもしろみに欠ける。
おすすめしません。

 向井氏のは、あれもこれもとてんこ盛り感がぬぐえないが、幅広く強弱をつけ興味のあるところだけを拾い読みしても面白い。参考文献の量がすごい。
こちらは、おすすめできる。


 今回学んだことを箇条書きにしてみる。
・和食の食事作法としは右ききが前提になっていること。

・主食の米類は左、汁物は右になっている理由がジジイのこの歳になってようやく納得した。
米の茶碗をとるときに右側の味噌汁などが箸にぶつかってこぼしそうになる。どうしてこんな不合理な位置に置く約束事になっているのかわからずじまいだった。
 食事はの主役はあくまでも米であるというのがひとつの前提で、それを左手で取るためには左側になければならぬのだった。最初にその茶碗をとり、次に右手で箸を取り上げ茶碗を持っている左手の指先あたりで箸が使えるように持ち替える。これが一連の流れとなる。箸は茶碗と汁物の前側にあるので箸の右側が味噌汁などとぶつかる心配はない。

・箸の持ち方を「正しい持ち方」という表現を避けている。「伝統的な持ち方」としている。
持ち方が美しいかそうではないかは別として、これは何らかの配慮をしているから表現に気を使ったというのではなく、たくさんの持ち方を科学的に分析して比較検討した結果による。従来の「正しい持ち方」が必ずしも目立って優れた結果を示さなかったからだ。手のひら周辺に電極をめぐらし筋電位の変化を調べている。いわゆる「正しい持ち方」は手に余計な緊張をかけていることが判明した。

・箸文化圏である日本だけに匙が食事の席に広まらなかった。これも興味深い。



 これはこの本とは無関係なことだが、借りた本はどこかで水を浴びたらしくゴワゴワであった。
学生のときに、弁当箱と一緒に入れた辞書が漏れ出た汁で汚れゴワゴワになってしまったことがあった。我慢してしばらく使うのだが、悔しいかな使い物にはならなかった。
 この本も同じで頁がめくれぬのだ。読みづらいことこの上ない。日本の科学技術をもってもとのように復活させることはできぬものか。書籍類の保存補修修繕専門の人たち、挑戦してください。

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