2019年5月24日金曜日

崎陽軒シュウマイ弁当 その1

 定年退職して今年で6年目、ちょうどこの時期だっただと思い出す。
職場の組合の定期大会が例年、この頃に行われていた。
定期大会の昼食は毎回必ず、シュウマイ弁当ときまっていた。
誰も毎年同じじゃねえかと文句をいうものもいない。
もし変えてしまったら、逆にたくさんの苦情が押し寄せること請け合いの雰囲気があった。
それこそ、定期大会の議題のひとつにあがってしまう。

 ボクの都合で、昼食は14時過ぎになってしまった。
もう午後の大会は始まっていたので、弁当のおいてある部屋は数人しか人がいない。

 一口頬張ってふぅ~とため息をつく。
弁当が温かいこともあったが、冷めていても旨さはかわらない。
なぜか定期大会でシュウマイ弁当を食うたびに、子どもの頃を思い出してしまう。

 家の都合で父は他県で働いていた。
ボクが物心つくずっと前からだ。
だからボクは父と3日以上ひとつ屋根の下で暮らしたことがない。

 父は横浜生まれの横浜育ち、生粋の浜っ子だ。
週末帰宅するときに、駅で横浜駅だろう、崎陽軒のシュウマイをよく買ってきていた。
それを母が蒸す。
週末の夕食の定番であることが多かった。

 小学校入学前、シュウマイ弁当の瀬戸物の醤油入れの人形で遊んでいて叱られた記憶がある。
男の子がままごと遊びなんかするもんじゃありません。
ままごと遊びができるものをセットにして箱に入れて、隠れてボクは一人遊びをした。
母の実家にしばらくあずけられたとき、父が職場に帰るついでに遠回りをして自家用車で送ってくれたことがあった。途中必ず横田飛行場の向かいにあるドライブインで休憩をした。そこでオレンジジュースを飲むのが楽しみだった。

 そのときに、そのセットを持ち、車の後ろでこっそり出して遊んでいたら、
父に見咎められたが、父は「ヒャッヒャッひゃぁ」と奇妙な声で笑うだけだった。

(つづく)


0 件のコメント:

コメントを投稿