どの章からでも読むことができるようになってる。しかしやはり一番気になるのは第4章「バナナ園の農薬散布」。他の章は読まずにこの章だけを読んでも、この本の価値は十分すぎるくらいある。といってもやはり他の章も読んでしまうけど。どの章もとにかく詳しい。詳しすぎて読みずらい。章ごとの参考文献などもたっぷりある。
農薬汚染されたバナナを消費者が食わなければ、汚染バナナが減るというものでもない。日本がダメなら中国がある。別に日本ではバナナを食わなくたって死なぬ。どうしても食わなければならぬものではない。フィリピンの国も裁判所もあてにならず、諸外国の商社もよってたかってやり放題。解決策なんてあるのだろうかとおもってしまう。
鶴見良行が「バナナと日本人」を出版したのが1982年。岩波新書だったか、たしかに読んだ。あれからもう40年近く経っても、何にも解決していないどころか、イッチもサッチも行かないくらい酷さが定着してしまっている。どうすりゃよいのだろう。気持ちは萎え、悲観的になる。
セスナから噴霧される農薬を浴びながらも取材執筆する著者に勇気づけられれば、ジジイもなにかできることはないかと気持ちが上向きになるのだが、読後直後の今は情けぬがため息しかでぬのだ。苦い現実なんてとっくに通り越している。
つづく
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