国立国会図書館蔵
The Night Market at the
Asakusa Temple late in the Year.
不許複製
著作権所有
新井芳宗画
明治三十二年十二月一日印刷
同月十日発行
東京市京橋區日吉町十番地
著作者兼発行者
長谷川武次郎
同市芝區神明町二十一番地
印刷者 浅妻徳次郎
一年の最後を飾るにふさわしい絵となっており、他の月とは力の入れようがちがっているのがあきらかにわかります。右側の阿形(あぎょう)の仁王像の柵の前に、わらじ札に絵師の名前がひっそりと(といいたいところですが、いやでも目立って)ぶら下げられています。そして柱には御札が2枚貼られ、奥付が直書きされています。
大提灯も見事。Calendarは提灯の底の曲面にそうように配置され、中からの灯りでうきでるような感じがうまく表現されています。2023年12月の日にちに並び替えるのはとてもとても大変でしたが、見た感じそれほど違和感なくできあがっているとおもいます。浅草寺の提灯は火事で消失し、戦後松下さんが寄贈したはずですが、もうこの明治32年にはなかったとおもうのですけど、どうなっているのでしょうか。
その大提灯の下で手をつなぐ母娘。母親のなんというシックないでたちでしょう。御高祖頭巾も素敵ですし、袖口からのぞく裏生地の渋朱色。娘は正反対に派手さをおさえて紫の振り袖で裾へむかっての濃淡のぼかしにうっとりです。髪飾りも細かく描いています。
夜店の人混みも暗がりの中とはいえ、寒さの中ここだけが熱気に満ちているようです。夜店からの提灯の明るさが人混みの足元にむかってさしています。お寺の階上の舞台にも人が密集していてそれら人混みをながめています。
お寺の庇、阿形(あぎょう)仁王像の力強い右腕などなど、どこをみてもみても、飽きることなくながめつづけてしまいます。
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