2023年1月1日日曜日

ちりめん本「THE TONGUE CUT SPARROW」(舌切雀)英語版の印刷発行年の推測

 わたしが落札したこのちりめん本はこの画像のように、発行年が記載されてないものでした。

もしかしたら左上の空白の紙をくわえているツバメのところに記入する予定だったのかもしれません。

 東京女子大学比較文化研究所所蔵ちりめん本コレクションが充実していますので、出版年のない[n.d.]のものににたものがないかを調べました。

仏語版舌切雀と

独逸語版舌切雀が

まったく絵の構図や色づかいも同じでした。

 さて次は発行年月日の絞り込みに取り組みます。

こんどは石原敏子氏の研究ノート「関西大学図書館所蔵ちりめん本の整理」を頼りにします。

「発行者 長谷川武次郎」の住所「東京市四谷區本村町三十八番地」と

印刷者「東京市麹町區土手三番町廿七番地印刷者金子徳次郎」が鍵になります。

長谷川武次郎は発行者住所と印刷者の氏名住所をけっこうかえていますので、見つからないことも考えられますし、また見つかれば発行年月日の幅を狭く絞り込めることにもなります。北斎の引っ越しグセにならったのかもしれません。

 なんと運の良いことに、先の研究ノートでこの二つの条件に一致するのは一件しかありませんでした。「Japanische Dramen Terakoya und Asagao」です。

 国立国会図書館デジタルコレクション(NDL)にありました。

 二つの条件に一致しているのを確認すると

 みごと一致しました♫♫

明治33年9月1日印刷、明治33年同月10日発行が候補のひとつになりそうです。

 そしてもうひとつ、この条件に一致するのが「Works & Activities K'studio」の

Calendarにたくさんあることに気づきました。

 本が少なくCalendarが多くなっているのは、いろいろ事情があったのかもしれません。

はじめはネットだけで絞っていくのは限界があるのではとおもっていました。

運がよかったのでしょう。もちろんそれを支えてくれた先人のレポートや研究機関の公開情報があったおかげあります。

 元旦からめでたいことでありました。 


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