2017年9月26日火曜日

「プリズンホテル」を読んだ

 おもしろいの一言。
この一行で終わってもイイのだけれど、終わりません。

 大声を出し腹かかえて笑えるかとおもうと、
知らないうちにたまった涙が、おもわずポロリというところもある。

 読みながらおもったな。
小説だけではなく、美術でも音楽でも工芸品でも
まぁいわゆる芸術なるもの、
その内容や様式に従っての種類分けはつまらんし、くだらんな。

 純文学・児童文学・時代劇作家・恋愛小説・SF作家・・・
中には小中学校の道徳読み物作家というものもあって、これはホントに馬鹿馬鹿しい。

 浅田次郎という大きな小説家という塊があって、
あっちの部分ではこんなものを書き、そっちの部分ではまた異なったお話を書く。
いろんな趣のものを書くが、どれもハマる。
浅田氏が努力精進日々邁進しているたまものなのだろう。
たいしたもんだ。


 たくさんの登場人物が出てくるが、
主人公の木戸孝之介は別として、
美加、その母の清子、育ての親の富江が好きだ。

 美香はいじらしく、けなげだ。
孝之介にあれこれ言われ、
「あい。・・・」と返事する、これがたまらんな。

 灰皿でたたかれ、日記帳ではたかれ、足でふんずけられ
そのあと、しばらくしてから
「あいたっ。・・・」このまあい、数行読み進めてからまたここに目が移ってしまう。
痛みが鈍行で脳みそ伝わっていく様がやはりたまらん。

 富江が失踪したとき、美加の手を引きながらあちこちを探した。
くたびれ探し回ったところは、実の母親が男と家を出ていってしまったときに
まだ小学生であった孝之介が探し回ったところと同じだった。

 富江を受け入れまいとする偏屈な心と
実の母親以上に体は母として受け入れ、欲している孝之介の心情が痛々しい。

 放免桜の枝にだかれた孝之介一家の向こうに、雪を頂いた稜線が見える。
一家の幸せを願ってやまない。

 よし、決めた。
5年ぶりに奥湯元温泉に行く。



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