2018年4月27日金曜日

「江戸の農民生活史」速水 融 を読んだ

 高々300戸の濃尾西条村を宗門改帳から、農民の生活を浮かび上がらせ、分析した本。
この手の本は大好きです。

 「第六章人々の多彩な生涯」がジンと来る。
医師をめざした地主の末っ子とその家族、小作農伊蔵の一家、道がわかれた三人娘の人生、生活史の語るもの、これらの小題を見ただけでもそれぞれの家族史、生活史、村の変遷におもいをはせてしまう。
農村を舞台にした時代小説が3本かけそうだ。

 それまでの江戸時代の農村の姿をこわしてくれるのは快感だな。
・都会への奉公により、農村でも都会の話題が日常的にあった
・支配階級である武士とそれ以外の身分差は厳然としていたが、農民との人的交流が多かった
・農民相互間で頻繁な養子の慣行が想像以上に広く行われていた

 「第7章西条村人口史と江戸」はダイナミックである。
現在では人口の増減が諸文化の発展衰亡などと必ずしも関連しないらしい。
西条村の興亡が近在に大都市が隣接したこともあるかもしれないが、
わずか300にみたない村が江戸期の日本にスポットライトをあて、
その存在を際立たせているのは楽しい。


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