2019年12月17日火曜日

板矧ぎのこと

 「漂流」吉村 昭 著 の中に、年に1度程度の割合で、それもほそぼそと流れ着く流木で和船を作るところがある。また、和船の板を矧ぐには縫い釘が必要なのだが、それも作る。鉄を加工するにはフイゴがなけれなならないが、それも作る。原料の鉄がそこらに転がっているわけがない。なんせ火山で無人島だ。しかしあるとき偶然か執念か、磯に岩にしては不自然な岩の塊を発見する。よくもまぁ見つけることができたとおもう。

 それは碇が流れつき岩場に絡まっていたものだった。そしてこれを苦労して引き上げる。
フイゴでその碇の表面を真っ赤にし、斧でこそぎとるという作業を繰り返し、釘を作った。

 和船の板矧ぎのことをネットで調べてみた。
「姫路藩和船建造委員会」HPにこの画像を見つけた。(不許可で掲載して申し訳ありません)



 説明文に
「数枚の板を横に並べて接合し航(かわら)とします。接合部から水が漏れないように接合面がぴったりと合わせられるように、薄いのこぎりで二枚の板を合わせて間を鋸で挽きます。『矧(は)ぎ合わせ』という作業です。電動鋸を使うことはできません。矧(は)ぎ合わせには専用の薄い鋸が使われます」とあります。

 前置きが長くなってしまった。ジジイになるとどうもイカン。
この矧ぎ合わせの方法を以前椅子の座面が割れたときの修理方法でジジイは得意になって画期的な技だと自画自賛したことがあった。



 お恥ずかしい限りである。
弁解だけはしておきたい。
ジジイは独力でこの技を見つけた。今でもこの技は今後も使えるし有用な方法である。
ちょっとした板矧ぎならばこの方法が簡単確実でこれで十分である。
実際この椅子の座面はもうじき一年たつがなんともない。

 家具製作をする木工職人たちは板矧ぎとなるととても神経質になる。
まぁ当然のことなのだが、命をかけるわけではない。
でも和船の船大工さんは、船乗りの命を守るため、命がけで板を矧ぐのだ。
板の矧ぎがきれたら、船は沈む。

 縫い釘で打ち付ける前に、矧面にダボを入れたり、溝を堀り木の皮から作った繊維状の詰め物を入れる。水を含むと膨張して水漏れを防ぐ。

 和船の構造やその制作過程はとても興味深い。




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