2021年1月5日火曜日

「鴎外は何故袴をはいて死んだのか」を読んだ

志田信男 著

公人の友社 ¥2500円

副題『「非医」鴎外・森林太郎と脚気論争』


 ジジイはこの脚気の話が好きで、板倉聖宣「模倣の時代」上・下 仮説社1988年や吉村昭「白い航跡」上・下 講談社1991年、また高木兼寛の伝記など読みあさっております。

 森林太郎はこの脚気論争では誰がどう見ても敗北しているわけです。日清日露戦争で3万強の兵隊さんを脚気で失わせた責任は取り返しがつきません。その責任の重さは防げば防げたのにさらに彼は軍隊の衛生における最高責任者だったのですから、軍法会議にかけられたら間違いなく死刑でしょう。この本でもでてきますが、ごく簡単にいってしまえば、「論より証拠」なのか「証拠より論」なのかということで、医療ではこれも議論の余地なく「論より証拠」なのであります。どんな理屈かよくわからないけど病気が治ればよいのです。

 著者は百万遍繰り返してもいい足りないくらいに数々の具体的な書籍を証拠に上記のことを(軍法会議と死刑は除き)述べています。現代の医学でも同じことが繰り返されてはいけないと強く危惧するからです。

 森林太郎個人についてはもうこれ以上新しいことは出てきそうにもありません。ジジイは何故この問題がもっとおおっぴらに公然とマスコミも文学界も医学界も他分野でも話題にならないかのほうに興味がうつっています。もう少し述べたいことはあるのですが、Amazonにこの本のとてもすばらしいレビューがあります。是非ともそちらのほうを読んでください。

 

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