2016年8月9日火曜日
8月4日は箸の日でした
8月4日ラジオで
今日は箸の日ですとアナウンサーが報じていた。
単純明快そのまんまの日にち設定なのがいいね。
箸かぁとぼんやりしながら
そう言えばタイ語でなんて言ったけと
これまた、ボンヤリとその言葉が出てくるのを待ったが、不発であった。
ネットで調べると、すぐに思い出し
その言葉の響きもよみがえった。
タキアップ。
日本語のカタカナをそのまま発音した響きがそのままタイ語の発音になる。
この言葉を教わったのは
ホアヒンという港町、もうかれこれ十数年前になる。
レストランとは呼べないような、安くておいしくて人気のあるお店のおばさんに教わった。
この店の人気メニューに火鍋がある。
豚肉などの肉系や港町から仕入れた海鮮系があるが、
高温多湿のなか、テーブルに乗るような素焼きの簡易火鉢に真っ赤っかな炭火で
グツグツと鍋を楽しむ。
ほとんどの人がこれを注文するので、店の中はサウナの一歩手前という感じだ。
店の場所は四ツ筋の一角にあり、店は開け放たれているので、空気はかろうじて流れるし、
カタカタと音を立てて首を振るヨレヨレの扇風機は、
熱い空気を店中にふりまいているだけだ。
昼時は屋台みたいな店が数軒ここで営業し、
夕方以降は、昼間とは異なる料理人が入るようだ。
その夕方には、ボスと思われるおじさんが、店の奥で目を光らせ、
テキパキと従業員に指示を出している。
このボスは、昼間にも店の奥にいることがあり、
どうやら、昼は屋台に店を貸し出しているようだ。
このボスは、従業員に指示をだすだけで、自分では配膳のサービスはしない。
あまりに混んでいて、ビールを注文しにくいとき、
ボスに合図してビールを直接お願いすると、すぐに持ってきてくれる。
ワインクーラーが用意できる時は、それと一緒にサービスしてくれたこともあった。
通い続けて顔なじみになると、店の人達の対応も変化してくる。
日本でもそうだが、要するに融通をきかしてくれるのだ。
混んで行列ができているときなど、それとなく目配せして
店の隅の方に、椅子を無理に用意してくれたこともあった。
現地の人が怪訝な目を投げかけるのだが、
予約の人だとも言っているのだろう、
文句はでなかった。
ある時、道路側のところで食事していると、
日本の焼き芋売りよろしく、
マンゴスティンを山のように積んだ行商の軽トラがきた。
スピーカーから
1キロ幾ら、2キロなら幾ら、3キロでは幾らと聞こえてくる。
これくらいのタイ語なら大丈夫だ。
混んでる店の従業員たちの目が一斉に軽トラに注がれるのがわかった。
安いのだ。
従業員がお客さんをほっぽり出して、みんなレジ袋一杯買っている。
ボクも2キロ買った。
ボスが笑っていた。
いつの間に買ったのだろう、いつものボスのところの机の下から
マンゴスティンいっぱいのレジ袋を見せてくれた。
その店は、フォークとスプーンが通常だされるのだが
その日のボクは箸をお願いした。
そうしたら、顔をクシャクシャにしたおばちゃんが、
親しみのこもったとびっきりの笑顔で持ってきてくれた。
タキアップ、タキアップと
数度その言葉を繰り返し、教えてくれた。
さらに、
この浜の先にお寺があるだろう、カーオ タキアップ、
この言葉も数度繰り返し、
箸のお寺だよ と教えてくれた。
ボクが覚えたばかりの
タキアップを何度か発音すると
おばちゃんはさっきよりも、もっと顔をグシャグシャにして
喜んでくれた。
翌日、自転車で白砂の浜辺を走り、カーオ タキアップへ向かった。
浜辺に沿って国道もはしっているが、
走りにくい砂地をこいだ。
目視できるとんがったところにあるのだが
炎天下、なかなか距離が縮まらない。
浅瀬を渡り、タイヤが砂にもぐってしまうところはかつぎ、途中日陰で休み
汗だくになりなんとか、着いたときはへばっていた。
カーオ タキアップの高台に登り
いま来た、ホアヒンの浜を振り返った。
吹きあげてくる浜の風は心地よく、
目にうつる景色は優しく心穏やかにしてくれた。
猿が、犬を押さえつけて毛づくろいをしていた。
犬はされるがまま、気持ちようさそうな表情をしている。
その脇で、金ピカでデカイ仏像が沖に向かってたっている。
道中の安全を祈った。
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