岩波書店 2010.5
藤木 久志 著
大名同士の争いを記した本は多いなか、
この本では題名通り、村人たち同士の争いはどんなものだったか、また村の掟はどのようなものだったのかを実例豊富にわかりやすく記されています。
以前読んだ「「江戸・明治百姓たちの山争い裁判」草思社 渡辺 尚志 著 」と重なる部分が多々ありますが、中世から何百年とそれらの慣習・掟が引き継がれてきたことを示すものでもあります。
鎌を神聖なものとして、村境の取り決めの際の手打ちの象徴として用いられたり、村同士の闘いのときには相手の鎌を奪い没収するというのも、殺し合わないためのひとつの解決策だったようです。そのしきたりが中世より何百年も江戸・明治時代まで残っているというのもまた驚きです。
現代でも土木工事や家屋新築のときにおこなう神事で鍬入れなど行いますがそのあたりのことが流れ入っているのかもしれません。
秀吉が百姓たちをどのように統治して、子飼いの大名たちに実際にやってみせ、その後彼らは全国に散って行きます。そのあたりの話も興味深い。
これまで虐げられてきた百姓の印象は大変に大きく、最近のこれらの研究成果からは、主張し戦う百姓像がかってのものに取って代わることになりそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿