2019年10月1日火曜日

「壱人両名」尾脇 秀和 著 を読んだ

江戸日本の知られざる二重身分 NHKブックス
NHK出版 2019.4

 とても興味深く読みことができた。
いつもながらこういった書籍の読後感は同じ思いを抱く。
当時を生きた人々がどのような支配(その意味も)をうけ、現在との価値観の相違がどのようなものであったか、教育の場で扱ってほしい。
教科書の中でふれることがない。

 現代のわれわれが当たり前とおもっている氏名についても、そうだったのかとうなずく。
本書P264にある。
「庶民の名前に対しては、明治3年(1870)9月19日、苗字公称の自由化が布告されたが、苗字をわざわざ書かずとも実生活には何も困らないため、その使用は必ずしも浸透しなかった。だが国家にとって、それでは国民を把握する上で都合が悪い。そのため明治8年2月13日、政府は今後、絶対に苗字を名乗れと強制する命令を発した。かくして日本国民の名前は否応なく「苗字+名」(のちこれを「氏名」という)に統一されたのである。」

 なんとも明解で疑問の余地がない。
2019年現在、日本国民の名前の形はたかだか164年の歴史しかないことになる。

 支配の仕方が変われば、なにもかも人の名前のあり方さえ変わらざるを得ないのだな。


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