中央公論社 1991.9
吉村 昭 著
幕末の通詞 堀達之助 の物語。
彼自身の一生は波乱に満ち苦しいものであったが、彼のまわりにあらわれる人たちの生涯もすさまじい。
入牢されてしまい、そこで牢名主になっていたことにも驚かされる。
隣の牢には吉田松陰もいた。
また堀達之助がかかわった1853年のペリー艦隊では外輪船は当時最新であったが、それから数十年後、彼が失意のうちに横浜港から長崎へ向かうとき、横浜の港にはたくさんの外輪船があったという。蒸気船が普及するその速さにこれまた驚く。
彼は退職後燃え尽きたようにふるさと長崎に帰郷する。
しばらくして老後を大阪の裕福になった息子の家の離れで孫たちと過ごす。
どんな心境であったかはわからぬが、はたからみれば幸せな晩年であり一生であったとおもう。
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