2022年7月15日金曜日

「江戸幕末滞在記 E・スエンソン著」を読んだ

江戸幕末滞在記

新人物往来社 1989.2

E・スエンソン著

 この本を読みながら、一緒に借りた幕末の写真が半分以上の「レンズが撮らえた幕末の日本 山川出版社 2011.4 岩下 哲典∥著 塚越 俊志∥著」も見た。「江戸幕末滞在記」に出てくる内容の写真があって興味深い。

 スエンソンはデンマーク人だがフランス軍に入隊して将校として日本にやってきた。仏軍提督と一緒に行動し慶喜に拝謁したり食事に招かれたりしている。

 当時の大衆を冷静に観察し細かく記しているところが楽しい。慶喜に拝謁するために大阪の淀川を小舟でのぼるのだが、大阪の庶民が川岸や橋(は落ちんばかりの大群衆)の上から彼らをまるで見世物のように見ているところがあり、それら人々をスエンソンが双眼鏡で眺めていると、橋の上の彼らは手のひらで双眼鏡をつくり同じように船上のかれらを眺める仕草をして大笑いとなる。なんとも愉快で楽しい風景ではないか。

 スエンソンを調べると、日本最初の海底ケーブルを敷設した人物だった。長崎には「これを記念して、長崎全日空ホテルの敷地内に フェンスに囲まれて「国際電信発祥の地」の碑が建てられている」とある。1872(明治4)年1月1日には、日本はヨーロッパと(海底ケーブル)電信線で直結されたが、日本国内では電信が長崎まで届いていなかったため、そこから東京までは数日かかったようだ。海底ケーブルがこんなにはやく敷設され欧州などとやりとりできていたことに驚いた。

もっとスポットライトをあびてもよい人物だろう。

 

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