2017年1月16日月曜日

『「日米合同委員会」の研究』を読んだ その1

 戦争を起こし、負けるとはこういうことなんだと、改めて深く考えた。
北方領土4島という国土を失うということも、その結果だ。

 サンフランシスコ講和条約で国としての体裁は復活したものの、中身は
占領時代と変わらぬ状態が続いているということか。



 衣食足りて礼節を知るなんていう故事は、外務省官僚は知っているに決まっているが、
日米合同委員会の密室密約の仕組みの甘い黒い蜜の味を知ってしまった官僚たちは、
ズブズブと体すべてを浸らせてしまっているようだ。

 著者の吉田敏浩氏が指摘している通り、日米合同委員会の日本側代表達はみな国家公務員だ。
「憲法を尊重し擁護する義務を負う」彼らが、戦後ずっとその職務とは正反対のことを行い続けてきている。
 また氏は何度も外務省に対して、日米合同委員会の議事録等の開示を申請してきたが、すべて門前払いされている。そして2009年11月情報公開法の手続きにのっとり、文書不開示決定の取り消しを求めて異議申し立てをした。
 内閣府の情報公開・個人情報保護審査会で調査審議され、2012年6月16日外務大臣に対して、
「日米安保条約に基づく日米地位協定の民事裁判権に関する合意について記した文章等の一部開示決定」という答申書を交付した。
 ところがである。
外務省は4年たってもこの答申書に従わない。申請者である著者が何度問い合わせても、
「アメリカ側と協議中なので、開示するかどうかまだ決定できない」と繰り返すばかりだという。

 外務省は日本国民と日本国憲法をなめきってるな。
アメリカに対しては、薄笑みを浮かべ揉み手をしながらにじり寄り
「仰せのとおりでございます」とペコペコしている姿が目に浮かぶわ。

 審査会の答申には強制力がないことをいいことに、外務省は無視しているということだ。
そして、情報公開制度の実施状況を把握する総務省の担当者は
「これまで行政機関が答申に従わなかった例はきわめてまれである」と強く指摘しているとある。
騒いでいる奴がひとりいるぐらいの認識なのだろう、ノラリクラリしているうちにどうにかなる
「ほっとけ」これが外務省の結論だろうな。
だってもう4年も無視続けているからな。



 Samuels氏が『米国にとっても「二重の封じ込め」の道具』のひとつとして、
『米軍基地は日本を再び軍事大国にしない「ビンのフタ」でもあった』と述べている。
フタをされ続けていた日本政府は、ビンの中でその味を知り発酵し醸成した。
その味に酔いつづけている。
「そっちのミーズはあーまいぞ、こっちのミーズはにーがいぞ」
他の誰にもこの味をもらすものかと、ビンの中から自らフタをしめる技を体得していった。

 こんなことを想像してしまい、自分自身で身の毛がよだつ。
なんとしても密室密約を守り、米軍に憲法を無視して日本全土を自由に使わせているのは
日本政府の意向であることは間違いないが、その理由は
自衛隊を米軍と一緒に行動させれば、
政府は戦前のように日本全土を法律を無視して好きなようにできる、
そうすることができる唯一の手綱を失いたくないのだ。

 米軍が撤退すれば、日米合同委員会は解散だ。
ビンのフタがなくなる。
有事法制の議論があるが、そんな甘っちょろい手続きなど超えて、
フタを活用したほうがよっぽど手早い。
なんせ超法規的措置などという言葉をはるかに超えている密室密約があるんだからな。
悪魔に魂を売ってしまったな、外務省。

 さぁ、池上さんあなたの出番ですよ。
日本国のあり方を問う根本的な実態と問題提起、
あなたが適任です。
時間無制限特集番組でやってください。

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