ドガァーンと太く鈍い爆発音がした。
北側の窓がガタガタと震えた。
母と二人で昼飯を食べ終わった頃で、母がその音に反応して直立した。
「飛行機が落ちた」
わたしはエッーとおもったが、
母は戦時中、中国は瀋陽で看護婦として働いている。
グラマンで機銃掃射されたり、爆撃機からの爆弾の下を逃げ回っている。
北側の空を見上げたが、煙はなかった。
その日だったとおもうが、中途採用で10月1日からの仕事の辞令を受け取りに出かけた。
街の電気屋さんのテレビでは米軍機墜落のテレビ速報を流していた。
そのときの、やり場のない怒りは今でもふつふつと腹の奥底で消えていない。
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